先回は「ニュージーランドでの従業員の雇用形態」の概要について説明しました。
今回は、具体的にニュージーランドで採用する社員と取り交わす雇用契約書について説明をしています。
従業員との雇用契約書はIndividual employment agreement(略称:IEA)と呼ばれます。
ニュージーランドの素晴らしい点の1つですが、ニュージーランド政府は会社運営に必要な情報やツールを提供しています。
雇用契約書作成サイト(Employment Agreement Builder)も提供しており、そのサイトを使って雇用契約書を完成する事が出来ます。
EMPLOYMENT AGREEMENT BUILDER(雇用契約書作成サイト)
もちろん、業種や業態に特化した契約書を雇用を専門とする弁護士法人に作成を依頼することも可能です。
費用面、会社のステージや規模に応じてニュージーランド政府雛形の活用、弁護士事務所の活用を検討されるのがいいと思います。
今回は、雇用契約書に記載される一般条項について説明をしています。
雇用契約書に必須で記載が必要な条項
・Position:採用する従業員のポジション
・Duties:会社が従業員に期待する職務内容(Job descriptionとして詳細に記載される事項のサマリー)
・Type of employment:雇用形態
・Place, Days and Hours of Work:勤務場所、勤務日、勤務時間
・Remuneration:報酬(種類:時給、年俸、コミッション)
・Leave:休暇(詳細は「従業員の休暇」コラムで説明します)特にPublic holiday(祝日)勤務の対応と勤務した場合の支払いについて
・Resolving employment relationship problems:雇用主と従業員間の問題に対する対処について
・Employee protection provision:会社を売却され雇用主が変わる場合の従業員の権利と現雇用主が従業員に対処すべき事項
・Employee Acknowledgement:従業員が契約内容を確認し理解したことを宣言しサインする条項
・Job Description:職務内容、ポジションで期待される役割と責任、必要なスキル
雇用契約書への記載が推奨される条項
・Trial period:トライアル期間(最大90日までの試用期間を設定可能)
・シフト勤務の場合の条項(シフトのキャンセル、休憩時間)
・Policies and procedures:従業員が会社の業務ポリシーや手順に準拠することの記載
・KiwiSaver:ニュージーランドの年金スキームに対する加入方法の記載
・Leave:各種休暇(年休、病欠、忌引、DV)についての記載
・Health and Safety:職場での健康と安全についての記載
・redundancy:会社がリストラが必要になった際の対応についての記載
・Abandonment of Employment:一定期間無断欠勤の対応についての記載
・Ending employment:雇用契約を終了する際の対応についての記載
必要に応じて雇用契約書へ記載される条項
・Tools of the trade:業務遂行にあたり特別な道具が必要な場合に誰が準備をするかの記載
・Uniform:業務遂行にあたり特別なユニホームが必要な場合の記載
・Benefits:給与以外の報酬がある場合(コミッション、ボーナス、手当等)についての記載
・Annual closedown:毎年特定の期間、会社を休みにする(クリスマス休暇等)対応についての記載
・Confidential Information:業務遂行にあたり知りえた秘密情報についての取り扱いについての記載
・Restraint of trade:就業中もしくは退職後に従業員の雇用主に不利な活動の禁止についての記載
以上が、ニュージーランドで採用する社員と取り交わす雇用契約書の概要です。
記載内容は多義にわたりますが雇用する従業員に合わせて必要な項目を網羅した契約書を取り交わす事が必要です。
お気軽に弊社「お問合せフォーム」よりお問い合わせください。
【免責事項】
上記内容は一般的な基礎情報の提供で、専門的な助言を目的としておりません。
個別案件につきましては独立した専門家のアドバイスを受けて頂く必要がございます。
日本企業のニュージーランドでの市場調査・代理店開拓・現地法人設立から進出後の現地事業運営サポート、またニュージーランドにおけるM&Aに至るまでトータルサービスを提供しています。